毒性の指標LD50
除草剤として世界中で広く使われているグリホサート系除草剤は人間にも毒ではないかと思っている方がいるかもしれません。
では人間にとって毒であるとはどうなのでしょう。
毒性は少量であれば毒にはならずに利点だけを利用することもあります。
つまりその毒の強さと量のセットで毒にもなれば安全にメリットになることもあります。
急性毒性の最も一般的な指標にLD50があります。
「半数致死量」と言い、化学物質をラット、モルモットなどの実験動物に投与した場合に、その実験動物の半数が試験期間内に死亡する用量のことで、投与した動物の50%が死亡する用量を体重当たりの量(mg/kg)としてあらわしたものになります。
この数値が小さければ小さいほど毒性が強く、少ない量で影響を及ぼすので毒性が強いと言えます。
グリホサートのLD50はどのくらいの毒性なのか
グリホサート系除草剤のラウンドアップのLD50は5000mg/kgですが、身近なものでもLD値で比較するとグリホサート 除草剤より毒性の高いものが意外とあります。
カフェイン 200mg/kg
アスピリン 400mg/kg
塩化マグネシウム(にがり) 2800~3700mg/kg
食塩 3000~3500mg/kg
砂糖 15000~36000mg/kg
引用元 農業共同組合新聞:https://www.jacom.or.jp/noukyo/rensai/2019/12/191213-39894.php
このように比較するとグリホサート系除草剤ラウンドアップの急性毒性は「高くない」と言えます。
グリホサートも医薬品も適正な量であることが重要
毎日の食事で体の維持に不可欠な塩です。実は、塩にも毒性があって、塩のLD50値は3000mg/kgです。例えば、体重50kgの人の場合の半数致死量は、3,000(mg/kg)×50(kg)=150,000(mg)=150(g)となります。
これは、体重50kgの人間が一度に塩を150g摂取すれば、100人のうち50人が死んでしまうという毒性を示しています。
例えば塩は、適量であれば人間が生きていくのに必要な物質ですが、過度に摂取すると毒性があることになります。それでも、塩は毒だから塩の使用を禁止にしようとはなりませんよね。塩は人間の体にとって必要不可欠なものであるからで、「塩分の取りすぎは体によくない」と適量を上手に摂取するように食べ物を工夫しています。
薬もそうですが、毒であっても、丁度よい量であれば、きちんと病気の症状を緩和してくれているのです。医薬品を禁止しようとはせずに、利点があるから、禁止せず上手に使っていますよね。薬も農薬も使用量を守ることで安全性を確保しながらメリットになるということです。
グリホサート除草剤をはじめとする農薬にも同様に作物を病害虫や雑草から守ってくれるという立派な利点があります。
米国環境保護庁(EPA)は、グリホサートがラベル表示に従って使用される場合には、ヒトの健康への懸念のリスクはなく、またグリホサート 発がん性はないと結論付けています。