どちらも化学物質
農薬も医薬もどちらも化学物質ですが、どう違うのでしょうか。
人間や動物に使用する薬が薬事法という法律によって登録され、医薬品や医薬部外品として販売されているのと同様に、植物の薬が農薬であり、農薬取締法という法律の規制を受けます。
医薬は人が服用するので、命を守ために使われます。
効果があることが重要視され、医薬には副作用があるものもありますが、
かけがえのない命を守ために許容されることがあります。
服用するのは治療のためであって、治癒すると使用を中止します。
一方で農薬は農耕地で散布するので、農産物の生産に貢献する目的で使われます。
農業生産は経済行為で、安定した農作物を供給することが求められるので、効果だけでなく価格も考慮することが求められます。
継続的に利用され、農薬が作物だけでなく、河川や土壌への影響、そこに生息する生物への影響も考慮が必要となります。
どちらも目的のために適正な量を使用する
安全性を確保しつつ、その有用性を利用するという点ではどちらも同じで、
農薬も医薬も、それぞれの目的のために適正な量を使用することで利点を得られています。
医薬は処方される場合でも市販薬でも服用の用法・容量は明確になっていますし、それを守ることで安全に利用することができます。
グリホサート 成分を含む農薬も同じでラベルに記載されている使用方法での場合での安全が評価されています。
農薬はなぜ必要なのか
自然界では植物を食べる虫→その虫を食べる鳥や天敵→虫の死骸や鳥の糞を養分にして育つ植物、というサイクルが成り立っています。きれいに生理整頓された庭や畑では害虫が発生しても、それらを食べる鳥やクモなどの天敵が少ないため被害が大きくなります。
病害虫も好きな植物と嫌いな植物があり、自然界ではこれらの植物が共存し、万一病害虫が発生しても蔓延しにくい環境になっています。その点、家庭の庭や畑では特定の植物が多く植えられているため、発生しますと蔓延し被害が大きくなります。
農薬を使用しない場合には、病害虫の害を受けて収穫量が減ってしまいますし、グリホサート 除草剤を使用しないと、雑草に光や栄養を取られて品質も確保できなくなります。麦類に発生する赤かび病菌は有害なカビ毒を生産し、それが食品に残り、急性中毒のほか、慢性毒性の原因になります。適切に農薬を使用して赤かび病を防除することで、これらのカビ毒のリスクを減らすことができます。
農薬を使用しないで食料生産を行うとなると、膨大な農耕地や労力が必要になり、適正な価格で高品質の食料供給ができなくなります。
グリホサート 除草剤をはじめとする農薬は、農作物を生産する上で必要不可欠な生産資材と言えます。
農薬の残留基準と規制について
厚生労働省管轄の食品衛生法によって、食品の安全性確保のために公衆衛生の見地から必要な規制やその他の措置について定められています。
グリホサート系除草剤も当然対象ですが、食品における残留農薬基準を定めたり、食品衛生監視員による農産物の残留農薬検査の実施等を行っています。
グリホサート除草剤は広く使われているので、食品への残留についての記事を見ることがありますが、残留基準を超えた食品はポジティブリスト制度の導入により、食品販売はされません。
農薬の使用におけるリスク管理は、対象作物ごとに申請された使用方法で実施された作物残留試験における残留量を調べ、その値が残留基準値を超えないようにその農薬の使用方法(使用基準)が決められています。
農薬の使用方法(使用基準)を守ることにより、人への安全が確保される仕組みとなっています。