IARCのグリホサートの分類について

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IARCのグリホサートをグループ2Aに分類

国際がん研究機関(IARC)がグリホサート 除草剤を2015年3月に「おそらく発がん性がある」というグループ2Aに分類をしました。

 

発がん性分類は以下の5段階があります。

「グループ1」(発がん性あり)

「グループ2A」(おそらく=probably=発がん性がある)

「グループ2B」(発がん性の可能性あり)

「グループ3」(発がん性と分類できない)

「グループ4」(発がん性なし)

 

赤肉、理容・美容労働、熱い飲み物もグリホサート除草剤と同じグループ2Aに分類されていて、加工肉はその一つ上のグループ1に分類されています。

 

この分類への根拠は、人への影響データは限定的だが、明確な動物実験データがある場合としている。IARCの評価はヒトに対する発がん性の「ハザード」としての科学的根拠の強さを評価したものにすぎません。その評価は査読された論文と公的機関の報告書だけが使用されています。

農薬

IARC以外の規制機関は、ラベルに記載通りの使い方である場合にはグリホサート 除草剤に発がん性があるとは評価していません。

なぜ評価が違うのでしょうか。

 

IARCとの評価の違いについてのEPAの説明

EPAは、グリホサート イソプロピルアミン塩のリスク評価に関するパブリックコメントの期間中に寄せられたコメントに対する回答のなかで、IARCとEPAによる評価の違いに対して以下のように詳しく説明しています。

「EPAのがん評価は、IARCによる評価より堅牢なものである。IARCの評価では、一般に入手可能な科学誌に発表された、または発表に向けて受理されたデータのみを検討している。その結果、IARCは、EPAが評価対象とした研究の一部のみを検討するに留まっている。例えば、IARCは動物を対象とした発がん性試験として8件のみを検討したが、EPAでは基準に見合う発がん性試験として15件を評価に使用した。EPAはまた、IARCが評価に使用した研究のうち、非哺乳類 (すなわち、線虫、魚類、爬虫類、植物) の研究など、グリサホートのヒトに対する発がん性の判定には不適切な研究のいくつかを除外した。

 

また、EPAのグリホサートに関するがん評価は、透明性もより高いものである。EPAは、外部のピアレビューを受けるべく、がん評価案を連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法 (FIFRA) の科学諮問委員会 (Scientific Advisory Panel, SAP) に提示した。SAPによる評価プロセスの一環として、EPAはグリホサートの発がん性に関するパブリックコメントを求め、寄せられたコメントは協議事項や会議録、会議メモ、SAPの最終報告書とともに、きちんと文書化されている。EPAはSAPの報告書に回答し、委員会の勧告に対処し、また、従来のがん評価に改定を加え、透明性を保つべく広く公開した。さらに2018年2月には、EPAは、グリホサートのヒトの健康への影響および環境リスクに関する全面的な評価についてもパブリックコメントを求めた。これとは対照的に、IARCの会議は公開されていない。IARCの審議内容は非公開であり、そのプロセスにおいてパブリックコメントを受け付けて検討することはなく、会議に先立って提供される資料もなく、また、IARCの報告書は外部のピアレビューを経ずに最終版となる。」

引用元:https://www.regulations.gov/document/EPA-HQ-OPP-2009-0361-2344

 

2016年には世界保健機構(WHO)と世界農業機関(FAO)が共同で「グリホサートに発がん性はない」と発表し、IARCの見解を否定しました。

各国の研究・規制機関での公式見解の特徴は、世界共通のルールに基づいた実験法を用い、「科学的」に否定をしています。

小麦生産者、IARCのグリホサート分類に懸念を表明

実際にグリホサートを扱う農家たちの意見はどうでしょうか。

全米小麦生産者協会が長年の規制機関による科学的検証によりグリホサートが安全であると明確な事実が示されていることを言及して、農家のグリホサート系除草剤の使用を支援しています。

「IARCの主張は、新しい科学に基づくものではなく、非常に問題があります。世界の規制機関や国際的な科学コミュニティによる25年以上にわたる分析では、最新のデータや査読付きの文献を評価し、グリホサートの毒性レベルは低く、グリホサート 発がん性はないという同じ証拠が一貫して示されています。25年にわたる科学的分析と、限られたデータに基づいて作成された1つの報告書との間にある矛盾は無視できません。

 

消費者は、小麦生産者を含む米国の農家や牧場主が、私たちの家族とその家族のために可能な限り安全な食品を提供するためにたゆまぬ努力をしていることを信じることができます。NAWGは、業界のパートナーや同盟国と肩を並べて、農家の良心的なグリホサートの使用をサポートします」

引用元:

https://wheatworld.org/wheat-growers-express-concern-over-iarc-glyphosate-reclassification/

 

IARCだけが違う評価

IARCの分類による記事などを見た人は、IARC以外の規制機関の評価についてを知る機会がないまま、「グリホサート=発がん性」という言葉だけがひとり歩きしてしまっているのではないだろうか。

グリホサート 発がん性
グリホサート 発がん性
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